ニュース

ホンダとヤマハが50cc原付スクーターで業務提携。ヤマハはホンダからOEM供給を受ける

  • このエントリーをはてなブックマ>ークに追加

ホンダとヤマハは10月5日、日本国内の50cc原付スクーターの一部車種の生産・開発などで提携を検討することを発表しました。世界中でバイクを販売するグローバル企業のホンダ、ヤマハが50ccスクーターで提携する背景に日本の50cc原付市場の縮小がありました。

ホンダがヤマハへOEM供給。ヤマハ事実上の原付一種から撤退



出典:AUTOINOUSTRIYA.COM
今回のホンダ、ヤマハの提携は、ホンダが原付スクーターの生産を行い、ヤマハはOEM供給を受けるという内容です。該当する車種は、ホンダの「TACT(タクト)」、「Giorno(ジョルノ)」をヤマハへOEM供給。このOEM供給を受けたヤマハは、それぞれを「JOG(ジョグ)」「Vino(ビーノ)」として販売する予定です。自動車でいうならトヨタ「86」とスバル「BR-Z」のようなものです。

出典:Twitter/世界四季報(lot)

なぜ、このような提携を結んだかというと、日本の原付一種の市場は縮小し、なおかつ厳しくなっている排ガス規制をクリアできる原付バイクの生産・開発には大きなコストがかかるためです。
1980年には約237万台もの国内販売台数がありましたが、今では37万台にまで減り、安価な原付スクーターは利益率も少なく、現在の販売台数では生産・開発は難しくなってきました。

そもそも原付一種という排気量50ccの規格は日本独自であり、海外での小型スクーターやバイクの主要は排気量51〜125ccといった日本の原付二種にあたるところです。

ホンダ熊本製作所

出典:asphaltandrubber
ヤマハは台湾で年間5万台を生産し、日本に輸出してきましたが50cc原付スクーターの主要車種であるジョグ、ビーノの生産はホンダの熊本製作所へ委託。これにより、ヤマハは事実上の原付一種スクーターから撤退し、小排気量クラスは原付二種へと力を注ぐ形になります。これはホンダにとっても熊本製作所の稼働率を上げることになり、双方にメリットのある提携をいえるでしょう。
また、次期モデルや、電動バイクに関しても共同で開発・生産を進める方針で検討しているようです。

しかし、これだけ市場が縮小すれば、世界を相手にバイクを開発・製造を行う日本4メーカー(ホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキ)にとって50cc原付バイクで販売台数を分け合ったとしても採算が合わないでしょう。今回の提携はヤマハにとって苦渋の決断だったかもしれません。


ホンダの執行役員 青山真治氏(左)と ヤマハのMC事業本部長 渡辺克明氏(右)
出典:FINANCIAL TIME
記者会見したヤマハMC事業本部長の渡部克明氏は「このたびのOEM提携をきっかけとしてスタートすることとなった協業は、単なる製品供給の枠を超えた、日本の2輪車文化の未来を拓く活動であると確信しています」また、「環境規制に対応するのが難しく、このままでは事業継続が難しかった」とし、一方、ホンダ取締役 執行役員の青山真二氏は「今回の協業を通じて、お客様の期待を超える原付一種商品を提供することで、日本の2輪車市場の活性化と、将来の電動2輪車の一刻も早い普及に向けた市場環境づくりに全力で取り組みます」とそれぞれ発表しています。そして、カワサキは50cc原付スクーターを作っていませんが、残るスズキが最強タッグを組んだホンダ、ヤマハへ電動バイクを含めた原付一種クラスにどう立ち向かっていくか注目したいところです。


出典:cyclingweekly
50cc原付バイクは原付一種運転免許や自動車運転免許を取得した方の、気軽な乗り物、またはバイク入門として日本人の愛されています。高校生や大学生にとって新たな新生活を行う上で購入するものに原付バイクを上げる声も多かったです。しかし、学生にとってパソコンが必需品となり、また自転車ブームで10万円以上もするMTBやロードレーサーに乗る若者が一気に増え、同価格帯である原付バイクの必要性は彼らにとって薄れてくるようになりました。

PAS Babby

出典:ヤマハ
電動アシスト自転車も普及するようになり、税金がかからず、小さな子供を乗せることができ、さらには運動にもなるということで、主婦層に大人気です。実際に都心部のスーパーマーケットの駐輪場には自転車用チャイルドシートを取り付けた電動自転車が非常に多く、原付バイクはほんの数台しか停まっていないのが現状です。

さらに80年台、「オートバイの免許を取らせない」「オートバイに乗せない」「オートバイを買わせない」といった「3つの指針」を掲げた「三ない運動」がPTAで推進されたときの高校生は、現在、その時と同じ年頃の親となり、危険な乗り物であるという意識からバイクにとって良いイメージがなく子供にバイクの免許取得を許可しない親が多いのも原因に挙げられるでしょう。

これらを考えれば、原付バイクが時代に沿わない乗り物のように思えてきます。当サイトの記事取り上げた「【免許制度見直し】自動車免許で125ccバイクまで乗れる時代到来か!」で取り上げたように、普通免許で125ccまで乗れるようになれば、さらに追い討ちをかけることになるでしょう。そうすれば、このまま日本の50ccバイク市場が縮退を続け、いずれは無くなってしまうかもしれません。
存続のために、二輪メーカーが50ccバイクの魅力を発信できなければならないときにあるといえるでしょう。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加