NAVi110は現在、着実に“生息数”を増やしており今後も人気は続くこと筆者自身もNAVi110を3年程度保有していますがこれほど手軽に扱えて初期費用・維持費含めて小遣い感覚で楽しめるバイクというのも中々頼もしく感じます。値段故のクオリティの低さを補って余りある不思議な魅力を備えていると言えるでしょう。
HONDA NAVi110ってどんなバイク?
『NAVi110はHONDAから発売されている原付二種110ccスクーターです。新車価格は9万円~です。(発売当初の相場)』既にこの文章だけでも違和感を覚える人はいるかもしれません。
「HONDAのラインナップにNAVi110なんてあったか?」
「原付二種?この見た目はグロムじゃないの?」
「スクーター?この見た目はどう見てもミッション車じゃ・・・」
「このご時世に売るようなバイクの値段じゃないだろ」
まず、どのようなきっかけでNAVi110を知るかについては色々なルートがあるかと思います。その姿を見た者や存在を知った者の多くの場合、一種の衝撃を与えるバイクであります。それは見た目であったり、もしかすると価格だったりするかもしれません。既に購入を検討している方も多いであろうNAVi110について、今回は実際に3年程度使用している筆者自身の経験も交えながらご紹介させていただきたいと思います。
HONDA NAVi110の歴史
NAVi110はHONDAのインド法人が現地向けに開発・販売しているバイクです。ターゲット層はインド国内の若者向けで人口の多いインドの都市内を移動する“シティコミューター”的な機能を持っています。また、本体価格もインド人の所得に合わせたものとなっています。日本国内での正規取扱はなく“輸入車”となります。このバイクは2016年頃より日本のショップが少数輸入を開始しています。当時は関東のごく一部でしか手に入らなかったため本当に欲しい人は関東まで買いに行く必要がありました。珍車マニアが購入するバイクという位置づけでした。しかし、2016年11月頃より関西のショップが販売を開始し、2017年頃から瞬く間に全国へと販売網が波及しました。2017年頃よりインド国内向けの排ガス規制強化に伴う仕様変更、そして2018年頃にはオプションパーツが充実した現行車へのマイナーチェンジが行われています。
HONDA NAVi110のデザインは?
出典:インドホンダ公式サイト/NAVi110
(*画像はオプションパーツ搭載車両)
このNAVi110のデザインで真っ先に目を引くところはおそらく“車体中央部に大きな空間がある”ということでしょう。初めて見た人は必ず「エンジンどこ!? 」と困惑します。今でこそ認知されてきているNAVi110ですが国内導入が少なかった頃はその奇異なる存在感により、道の駅等で注目されることが多くありました。この空間にはオプションの収納ボックスを装着することが可能です。ちなみにこの車両はスクーターなのでエンジンは車両後方にあります。メーターは速度計のみのシンプルなデザインとなっています。2018年より発売されている現行車には燃料計が装備されています。アナログメーターで30km/h~50km/hまでのエリアに“ECO”と表示されているためこの速度域では燃費が向上するようです。車両自体のカラーバリエーションも豊富で緑・黄色・赤・オレンジ・青・白・黒・ブラウンなどが選択可能です。このカラーデザインもプラスチックの外装をポン付けしたものですので外装部品だけを別に所有していれば“着せ替え”が可能となります。また、ショップ独自でオリジナルのデカールを販売している場合もあります。そして、プラスチック製品を多用している故のチープさ、何とも言えない“豪快な”溶接跡がこの車両の雰囲気をより一層引き立てています。
HONDA NAVi110エンジン性能は?
これといった特徴のない空冷4ストローク単気筒エンジンですが原付2種スクーター独特の暗いエンジン音&マフラーサウンドが楽しめます。スロットルを大きく捻ると小気味の良い単気筒エンジンの音を聞くことができます。馬力にして約7~8馬力程度ですが日常の使用に際してこれがパワー不足だとか一般道の流れに置いていかれるということはありません。大排気量車とのツーリングでも“一応”ついていくことが可能です。この車両の特徴として燃料噴射方式はキャブレターを採用しています。21世紀もそろそろ半ばにさしかかろうかという時期にキャブレター車で堂々と街中を闊歩できる数少ないバイクです。キャブレター車だからといって特別な配慮は必要なくスロットルを思いっきり捻り回す必要もなければ無駄に吹かす必要もありません。
HONDA NAVi110の乗り心地・制動力
スクーターですのでミッション車のような激しいギアチェンジやクラッチワークはありません。しかし、スクーターなのにニーグリップ感覚を得られることがこの車輌の大きな魅力です。シート高は625mm程度です。おそらくは殆どの方が足つきに苦労しないかと思いますがタンク周りやシート自体はそこまで絞られていないため車格の割に足を付くポイントが遠く感じるかもしれません。ステップが大きいため、足を付く際はそれを避ける必要があります。挟路の走行も十分可能ですが足を付く際は位置を確認してから行って下さい。最悪、足がステップにまきこまれ、踵や足首を負傷する恐れがあります。フロントフォーク・サスペンションは約10,000kmを超えてくるあたりからヘタリを感じるかもしれません。長く乗り続けるのであればすぐに社外品へ交換するのも有りだと言えます。ブレーキはドラム式のため、同クラスのディスクブレーキ車種に対してストッピングパワーで劣る面もあります。ABSはないため、ブレーキコントロールもある種の“繊細さ”が垣間見える時があります。
HONDA NAVi110の燃費は?
出典:インドホンダ公式サイト/NAVi110
(*現行型モデルにのみ搭載されている燃料計、旧モデル使用者から見ると何とも羨ましい装備である)。
30km/h~50km/hの速度領域を遵守するのなら40km/Lの燃費は確保できるようです。この車両自体、燃費性能にはかなりバラつきがあるためコンスタントに50km/Lを叩き出す車両もいればどんなに頑張っても30km/L以下でしか走らない車両もあります。燃料タンク容量も少なく燃料計付きの現行型が3.5L、燃料計なしの旧モデルが3.8Lとなります。100kmを走行する前後よりガソリンスタンドを探す必要があります。もしこのバイクでツーリングに行く場合は事前に立ち寄るガソリンスタンドを計画として挙げておく必要があります。場合によっては携行缶の持参も念頭に置いて下さい。レギュラーガソリンを使用しています。
HONDA NAVi110の購入時注意点・評判
購入する場合は、純正部品による修理・交換は入手にかなりの時間を要することを念頭に置いて下さい。また、純正オプション品(ボックス・サイドスタンド)の入手にも時間が必要です。修理・交換は社外品・流用への切り替えが最適だと思います。まずスクーターのため、前輪と比べて後輪の消耗スピードは早くなります。純正タイヤの場合、約10,000kmで後輪タイヤの交換が必要となります。他社製ロングライフタイヤへの切り替えをオススメします。スピードメーターは約7,000km前後で内部ワイヤーが切れたためAF67トゥデイのメーターケーブルを取り付けました。走行距離12,000km前後ではテールランプ電球切れのため、400円前後の12V電球と交換しています。いずれも販売店に部品を依頼する場合、在庫がなければ入手までに数週間~数ヶ月程度の時間を要する可能性があります。トラブルが起きた時点での対応策にはある程度の知識や経験が必要になるかもしれませんので完全なバイク初心者には意外と向かないバイクかもしれません。とは言え、100,000円~と言う破格で新車を買えるというのは大きな魅力でしょうし、構造は単純で燃費も悪くないため今すぐ生活の足として乗り物が必要な方にはまさにうってつけの車両であると言えるでしょう。少額故にセカンドバイクとしての人気も高く、一部の熱狂的なファンによるミーティングも開催されているようです。なお、このバイクの正しい表記は”NAVi110″となります。
HONDA NAVi110の中古車価格・新車販売相場は?
新車購入価格は乗り出しを含めると約120,000円~150,000円程度となりますがこれも地方やショップによってバラバラのため中には100,000円程度で新車購入可能な場合もあるようです。現金を握りしめて全額キャッシュで購入できるバイクというのも現代では希な存在となってきました。“全額キャッシュで購入”というのも気持ちがよいものですね!(筆者体験談)
更に中古車は数万円で購入可能ですが、オススメはやはり燃料計付き現行型の新車です。
まとめ・総評
NAVi110は現在、着実に“生息数”を増やしており今後も人気は続くことだろうと思います。燃料費高騰、バイク本体価格の高額化傾向は現在もバイクに乗り続ける者にとっては頭の痛い話でございます。筆者自身もNAVi110を3年程度保有していますがこれほど手軽に扱えて初期費用・維持費含めて小遣い感覚で楽しめるバイクというのも中々頼もしく感じます。値段故のクオリティの低さを補って余りある不思議な魅力を備えていると言えるでしょう。一部都市ではレンタルバイクでの貸出も行っていますので機会があれば、是非街中の移動で使用してみることをオススメします。
HONDA NAVi110の動画
HONDA NAVi110の画像
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